第2章 2咲目,入団
調査兵団に保護されてから1ヶ月。私は怪我もすっかり治り、なまった体を慣らすために訓練場を特別に借りていた。
「ここが訓練場かぁ…広いなぁ…」
そう呟くと後ろからいきなり声をかけられた。
「…おい」
「ビクゥッ!だ、誰…あ…リヴァイさん…」
び、びっくりした…。
いつの間にか後ろにいたのか、リヴァイさんがいつものように人を近寄らせないオーラを放ちながら立っていた。
「お前、怪我は治ったのか」
「は、はい、おかげさまで完治しました」
「…そうか」
リヴァイさんは私が病室にいるとき、毎日様子を見に来てくれた。態度や発言は素っ気ないし、厳しいけど、それはきっと彼なりの優しさなんだと思っている。
今だって、私が治ったと聞くとホッとしたように表情が柔らかくなったのを見逃さない。
「心配してくださって、ありがとうございます」
「…肩慣らしに来たのか?」
「あ、はい。もう1ヶ月も動いてないですから、このままじゃ試験合格は難しいので」
そう苦笑すると、リヴァイさんは目つきをさらに鋭くさせた。
「ほう…熱心なことだな。俺が指導してやる」
「え…本当ですか!?」
「さっさとしろ。少しでも根を上げたら試験なんて受けさせるまでもなく失格だからな」
「はい!」
リヴァイさんに指導してもらえる…なんて光栄なことだろう。助けてくださった恩もある。必ず入団して、役に立つんだ!
私は訓練着を借りてそれに着替える。準備が整ったところで、早速リヴァイさん…いや、リヴァイ兵長の鬼のような訓練が始まった。
訓練が始まって4時間。さすがになまった体にリヴァイ兵長直々の訓練はこたえる。でも、お父さんに鍛えてもらっていただけあって、兵士の訓練はお手の物だった。
弾む呼吸を整えていると、リヴァイ兵長が話しかけてくる。
「なんだ、もうへばったのか?」
「へばったワケじゃないです。少し呼吸を整えていただけです」
私が拗ねたように言うと、兵長はこれくらいでへばってもらっちゃ困ると言った。彼の役に立つには、もっともっと訓練しないと。
「リヴァイ兵長!もう1度お願いします!」
「…いいだろう、根性は認めてやる」
私はリヴァイ兵長の訓練についていき、1日を終えた。少しだけだけど、兵長に認められたことが何より嬉しい。もっと、頑張らなくちゃ。