第2章 “エース”を連れ戻せ
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
「え、え、あ、あの・・・・・」
皆さんはポカンとした顔で私を見詰める。不味い。こんな反応される事なんて分かりきってたのに何であんな事言ってしまったんだ私。
確実に皆さん『急に何言ってんだコイツ』『おい誰か良い医者紹介してやれよ』とか思ってるに決まってるよ絶対そうだよ。自分の向こう見ずな行動に、徐々に顔が発熱していく。
この場を何とかする為に言葉を探すが、口からは「え、う、あ」等の意味を持たない単語しか出てこない。どうするどうする。すると、不意に主将が無表情で私の方へと歩み寄ってくる。
「瀬戸」
「は、はい・・・・」
「どういたしまして」
「え、え・・・・?」
「お前が俺達といて安心してくれたの、嬉しいよ」
主将の笑顔を見詰めていると、主将の背からひょこっとスガ先輩が顔を出す。
「そうそう!瀬戸がそんな風に思ってくれてたなんて嬉しいぞ!また一緒に帰ろうな!!」
スガ先輩が言い終わるのと同時に、みんながワッと周囲に集まると、再び口々に言葉を掛けてくれる。やっぱり、凄く優しい。
「じゃあ、また明日!気を付けて帰るんだぞー!」
「はいっ、ありがとうございますっ・・・!」
バイバーイ! じゃあなー!!
挨拶をしてくれ、再びみんな帰路を歩き始める。私はみんなに軽く手を振る。名残惜しいけど、明日また会えるから我慢だ我慢。
不意に影山さんがこちらへ振り返ると、小走りで私の前まで戻ってくる。私は何事かと影山さんを見上げたまま見詰める。すると、影山さんは俯いたままボソリと呟いた。
「明日、絶対来いよな・・・・」