第2章 “エース”を連れ戻せ
「へぇ~~~・・・・あの影山がねぇ~~~・・・」
「瀬戸に~~~・・・・」
「自分の好きな物を~~~・・・・」
「分けてあげてるとはね~~~・・・・」
ゆっくりと後ろを振り返ると、案の定主将が笑顔で仁王立ちしてました。ただ予想と違ったのは、あの天使の様なスガ先輩までもが暗黒微笑を浮かべていたという事だった。マイナスイオンが一気に不穏な空気へと変化を遂げる。
おいコラマイナスイオン逃げんなこんにゃろうがお願い逃げないでください。
何故かお二人の纏う空気が、後輩の恋愛沙汰を弄りたい雰囲気とは
違う。これが分からぬ。
「ちょ、どしたんスか大地さんスガさん・・・」
「こ、怖いっ・・・・!」
田中先輩と西谷先輩も後ずさりをして二人から遠ざかって行く。影山さんと日向の肩がびくりと跳ね、背筋が反射的に伸びる。
「影山、瀬戸にカレーまんあげたのか?」
「あげたのか?」
二人は完璧な笑顔を崩さずに問い質す。どう見ても警察の尋問にしか見えない。完全に一致。
「う、うス・・・・・」
「影山カレー好きだったよな?」
「え、あ、温卵乗せスけど・・・好きっス・・・」
「ふ~~ん・・・そっかそっか・・・・」
スガ先輩は納得したのかしきりに頷くと、主将に視線を送る。主将は大きな頷きをスガ先輩に返した。
「え、え、何々?どういうことだ?」
「俺も、分かんねぇ・・・・」
日向と影山さんは顔を見合わせ、首を捻るばかりだ。私も完全置いてけぼりを食らっている。しかし、不意に月島さんがボソリと呟いた。
「あ~~~・・・・なるほど・・・・」
「「「!?」」」」