第2章 “エース”を連れ戻せ
「ほいっ、瀬戸どーぞっ!」
「あ、ありがとうございますっ」
スガ先輩は湯気の立つ温かな肉まんを笑顔で差し出してくれる。このスガ先輩スマイルにはどんなウェイトレスの人も適わないだろう。笑顔にキュンとしながら私も手を差し出し、受け取る。
「遠慮しないでおかわりもしてくれて良いんだからな?」
「は、はいっ」
手に心地良い温度が伝うのを感じながら、肉まんを口元に運ぶ。柔らかい皮に歯を立て噛み千切る。肉庵の汁と旨味が口中に広がる。久しぶりに食べたがやっぱり美味しい。
「あっ!日向お前食い過ぎだぞ!!」
「ふひまひぇんッ!ひゃひゃんうぇひまふへッ!!」
「何言ってっか分かんねぇよ!詰まると危ないんだからちゃんと飲み込んでから喋れ!!」
主将オトンか。
「すみません。我慢出来なくて、って言ってるみたいデス」
「お前も何で分かるんだよッ!!天才かッ!!」
「ツッキー進学ですから!!」
「山口うるさい」
「ごめんツッキー!」
月島さんと山口さんのやり取りが鉄板ネタなんだろうか。
まあ…仲、良い、のかな…?
月島さん達のどんちゃん騒ぎを眺めていると、ふっと誰かが隣に立つのを感じ、反射的にそこに目をやる。
「か、げ、やまさん」