第2章 “エース”を連れ戻せ
さっきの影山さんと西谷先輩の気持ちを味わう事になるとは。剛速球なデットボールが脇腹に投げられた様な気分だ。
「ちょっと皆サン、そこのマネさん絶望の次元超えた顔してますよ」
「ああホントだしっかりして瀬戸ちゃんッ!!」
「誰か飛行石貸してください」
「バルスはダメだからね!?!?」
「まーまー旭落ち着いてー」
「原因はお前らだろ!何で俺が一人で騒いでるみたいな雰囲気になってるんだよ!!」
スガ先輩の柔らかい宥めに対して東峰先輩は鋭くツッコミをいれる。私だったらあのエンジェルスマイル見たら全てを許しそうだわ。すげえ東峰先輩。
「まあヒゲチョコのツッコミは横に投げておいてだな」
主将歪みねぇ。
不意に主将は東峰先輩に向き直ると、先程の雰囲気と打って変わり、優しい笑顔を浮かべる。
「おかえり旭」
東峰先輩は僅かに目を見開くが、すぐにくすぐったそうに目を細める。
「ただいま、みんな」