第2章 “エース”を連れ戻せ
頬が火事でも起きそうなくらい熱い。東峰先輩のふわんとした印象と今の東峰先輩の雰囲気が大きく異なっている様に感じる。落ち着け荒ぶるな私の心。今はただ単に怪我無いか見てもらってるだけなんだぞ。
そっと手が頭に乗る。打ち付けた部分を探しているのか、東峰先輩の大きな手が右往左往している。まるで撫でてもらっている様な感覚に落ちる。もう絶対顔真っ赤だ私。
「……うん、今のところ腫れてないみたい。ホントにごめんね」
「いえ、私の不注意でもあるので気にしないでください…」
そう答えながら顔を手で扇ぐ。何こんぐらいの事で顔赤くしてるんだ…。私が不純みたいジャマイカ。自分の中の妙な気分をぶった切る為、話題を切り替え作戦を実行する。
「ところで、話って…」
「あ、ああ。あのね、こんなこと言ったら、瀬戸ちゃん、怒るかもしれないんだけど…」
東峰先輩は苦笑気味に微笑み、後頭部をガシガシと掻く。ゆっくり手を降ろし大きく息を吐いた。
「俺、まだ、迷うんだ」
「迷う?」
「ここに戻るかどうか」
「!!」