第2章 “エース”を連れ戻せ
* * *
「いや~~よくわかんないけど、青春だったな~~~!」
試合は無事に終わった後、町内会チームの嶋田さんが楽しげに声を上げた。
「『トスを呼んでくれエース!』とかねっ~~~!青春良いね~~~~っ!!」
「『俺が居ればお前は最強だ』とか言ってみてえ!高校生かっけぇッ!!」
「「………」」
嶋田さんと森さんは口々に称賛を言葉にする。が、その反面、顔を真っ赤にして押し黙っている二名がいる。影山さんと西谷さんにとっちゃ公開処刑に等しいに決まってるだろう。嶋田さんと森さんは褒めるつもりで二人の口にした言葉を反芻している。しかし、当の本人からすれば、冷静になって過去の自分を振り返らされているような物でしかない。
「か、影山さん、西谷先輩…大丈夫ですか?」
「瀬戸、今すぐ日向呼んできてくれ。俺の頭に一瞬で気絶出来るくらいの後頭部サーブ打たせるから」
「俺 今ダニレベルで小さくなりたい…」
嶋田さんと森さん、尊い未来を持つ青春真っ只中の高校生に明るくもクソもない希望を抱かせてどう責任取ってくれるんですかちょっと。