第2章 “エース”を連れ戻せ
「!」
東峰先輩の顔に驚愕が浮かぶ。しかし、スガ先輩の言葉に毛押させるかの様に口を噤んだ。
「・・・だから俺はこっちに入るよ、影山。負けないからな」
「俺もっス」
影山さんの表情はどこか嬉しそうで、思わず頬を綻ばせそうになる。
「西谷、ナイスレシーブ頼むよ!」
「当然っス」
西谷先輩はスガ先輩の言葉に誇らしげに頷く。が、西谷先輩はコート内へと入る際、一転して無表情で東峰先輩をチラリと見やる。西谷先輩の様子に、胸中に不安が沸き起こる。
「アサヒさん来たな!な!瀬戸!影山!」
「あ、うんっ!日向、東峰先輩のプレー見たがってたものね」
「うん!!楽しみだ!!」
「まあ、“とりあえず”戻って来たな。瀬戸のおかげだ」
「!!」
「え!?どういうことだ瀬戸!!」
「そ、それは、また後で・・・・」
影山さん何でそれ挟むんだ・・・・・恥ずかしいのでみんなに隠しておきたいのが私の本音だ。後で影山さんに口止めしとこう。
もし言ったら影山さんのスポーツタオルをポカリでビッタビッタにしますとでも脅しをかけようそうしよう。
* * *
選手の人達の準備が整い、試合が始まる。日向は嬉しそうにそわそわしてる。影山さんが落ち着けとツッコミを入れてる。縁下先輩も苦笑を浮かべてる。
反対に町内会チームの烏野メンバーの表情は優れてない。不安は募るが、必ず試合で仲直り出来ると、信じてる。
――――――――さあ、エースと、対決だ・・・!