第2章 “エース”を連れ戻せ
「・・・ホント、凄いね瀬戸。何でも知ってるって感じ」
「え?」
「責めたんだよ、旭。自分の事」
「!」
『なんで責めない!?俺のせいで負けたんだろうがッ!!』
「俺に言ったんじゃないんだけどな。その時に、西谷と旭は衝突したんだ。その後にも一度衝突して、それが教頭の前で、西谷は部活停止になった」
「そうだったんですか・・・」
「『お前がいくら拾ったって、スパイクが決まんなきゃ意味が無いんだよ!』・・・まさに瀬戸が言った通り、プレッシャーで辛かったんだろうな、旭」
跳ね返される壁を前に、恐らく東峰先輩の心は打ち砕かれてしまった。エースの名に恥じない様にしなければと思ってしまった。誰も悪くない。誰も。
「スガ先輩・・・・東峰先輩は、帰ってきます。絶対」
「え?」
「私が・・・」
「瀬戸?おい、ちょっと?」
───私が、必ず東峰先輩を、“エース”を連れ戻す。