第8章 こんな夜じゃなきゃ
潔子先輩はあの横断幕や頑張れの一言のように、自分なりの応援や支え方を持っている。私には私なりの出来ることがあるのだろうか。
また大きな溜め息が出る。とにかく無理矢理にでも寝ようかと起き上がって掛け布団を捲った時、机の上の携帯が光る。画面を見ると、メール受信の通知で、
『今電話出来る?』
という内容だった。こんな時間に誰からだろうとメールアドレスを確認するとそこには、
「黒尾さん……?」
思わずガバッと起き上がる。
何故黒尾さんからそんなメールが来たのか分からないが、まだ眠気が訪れそうにはないので、とりあえず『大丈夫ですよ』と返信した。
何となくドキドキしながら携帯を握り締めていると、遂に画面が淡く光り、着信画面に『黒尾さん』という名前が表示された。