第7章 おかしな烏野高校排球部
「伊鶴ちゃーん!!」
「ッ?!」
宮城の強豪校 青葉城西高校男子バレー部を率いる主将───及川徹。そんな彼が、突如両手を広げ飛び掛って来る。
何だこの人と考える間も無く反射的に身構えた。のだが、予想していた衝撃が無い。恐る恐る目を開くと、及川さんは苦の表情を浮かべていた。
「クソ川 “stay”だ」
黒髪の気の強そうな人が及川さんの襟元を引っ掴んで止めている。それにより及川さんの喉元が締まり、軽い呼吸困難に陥っていた。
「岩ちゃ…首、ぐっ、じ、しんじゃう…!!」
「安心しろグズ川、山に埋まるか海に沈められるか嫌な方を選ばせてやる」
「それ最初っから俺に選択権なんてあって無いようなモンじゃん!!」
優しさは幻だった。
「岩泉ぃ〜その辺にしとけよ〜」
「そーそ。その内花巻も参戦してホントに殺しかねないぞー」
「まっつんマッキー後で覚えとけぇッッ!!」
助け舟どころか死神の迎え舟のような発言だった。及川さんは随分厳しいご友人をお持ちのようだ。心中お察しします。
不意に、スガ先輩が恐々とした表情で私に問い掛ける。
「なぁ 瀬戸、お前、及川と知り合いだったのか…?」
「えっ、あー……」
その質問には私はどう答えるものかと頭を搔く。
私としては“はい”と返事をしたいのだが、もし及川さんが知り合いとして認可していないのなら、勝手に言い張るのは失礼なのではないだろうか。
「んー……その、あ、んー…」
「何だよ瀬戸!どういう関係なんだ?!」
ホントどういう関係なんでしょう田中先輩。私も今現在 迷走中です。