第7章 おかしな烏野高校排球部
「瀬戸、最近よく笑うよな」
「えっ?」
「最初の頃よりめちゃ笑うようになってるぜ」
田中先輩は自身の顔を指してそう答える。私は自分の顔に触れ、そうなのかとぼんやり考える。
「自分じゃ、全然分からないです」
「じゃあ自然に笑えるようになってるってことじゃね?良いことだろ!」
ニカッと歯を見せて笑った田中先輩は、私の頭を大きな手でくしゃくしゃと乱暴に撫でる。でも不思議と悪い気がしなかった。
その乱暴さに、寧ろ安心感を覚えた。仲間だと認めてくれているように思えた。
「はい。ありがとう、ございます」
「!」
不意に田中先輩が目を見開き顔を逸らした。何かしてしまったかと慌てると、そうではないと言われた。
「た、田中先輩?どうかし、」
「二人とも、なーにしてんの?」
「「!!」」
バッと後ろを振り返ると、スガ先輩を筆頭にみんなが立っていた。そして何か不穏なオーラが漂っている。スカウターで見たら戦闘力128000くらいはある。
「田中〜〜。羨ましいなー俺達も混ぜてくれよー」
「ヒィッ!!」
スガ先輩の優しい口調と圧倒的微笑みが逆に恐ろしい。影山さんに至っては一つも笑ってないんですが。ハシビロコウみたいな顔になってます。
「田中さん。覚悟良いスか?」
「待て待て待て影山ッ!!その拳は何だ!!」
あ、これ田中先輩死ぬやつだ。腹パンからの魚雷ラリアット決められるやつだ。
経緯は理解出来ていないが戦場になったのでとりあえず手を合わせていると、背後の体育館扉の向こう側が不意に騒がしくなる。
『・・・らごめんて岩ちゃん!』
『・・・けんな・川ッ!!』
『その辺にし・・・けよ』
『次・・・・で良いじゃん・・・』
錆び付いた扉をじっと見詰めていると、あれよと言う間に扉一枚越しに声が迫っていた。
錆び付いた扉が開かれ、その向こうの人物の姿が露わになる。
「あっ!伊鶴ちゃん!!」
「お、及川さん…!」