第7章 おかしな烏野高校排球部
言いようのない不安が喉元まで込み上げる。親を見失った子供の様に激しく辺りを見回して、あの姿を探した。
まさか、攫われたなんてことは。
最悪の可能性が頭を過ぎる。その瞬間身体の血の気が引いて行く。指先が冷たくなる。もしそんな事になっていたとしたら、全部俺のせいだ。
────俺がお茶になんて誘っていなければ。
────俺が先に店の外で待っていてなんて言わなければ。
勝手な想像ではあるが、まさかと笑い飛ばせない無い可能性だ。先走る不安と、大きな贖罪の念が沸き起こる。どうしよう、どうしよう。
「瀬戸ちゃん……!」
「及川さん?」
背後から突如投げられた声に肩が跳ねる。弾かれた様に振り向くと、俺は思わずあんぐりと口が開いた。
「え、あ、え…?瀬戸ちゃん……??」
「はい、瀬戸ですが…」