第7章 おかしな烏野高校排球部
俺はがっくりと肩を落とし、片手で顔を覆った。
ふーっと息を吐くと、そのまま頬杖を突く。
がっかりだ。
いや瀬戸ちゃんにでなく俺自身に。
何故その時に限ってそんなカッコ悪い所を見られてしまうのか。
体の調子が万全でない上、試合に遅刻。挙句負けたところを見られたのだ。何というか、うん…悲しい。
「及川さん、凄かったです」
「だよねー……えっ?え?今何て??」
「えっと、及川さんのプレー、とても凄かったです、と」
丸い瞳が不思議そうに俺を見て瞬きをする。俺の方こそびっくりだ。
「え、カッコ悪く、なかったの…?」
「カッコ悪いだなんて、そんな……。及川さんのサーブ本当に凄かったです。烏野にもサーブがとても上手なセッターの方がいるんですけど、その人と同じくらい、もしかしたらそれ以上に…」
彼女の語った“サーブの上手いセッター”とは、恐らく飛雄のことだろう。正直彼女の口から飛雄についての事が出るとは想定外で、思わず顔を顰めてしまう。しかしすぐに穏やかな表情へと切り替えた。
「そうかなー?あはっ、ありがとね」
そう言うと、瀬戸ちゃんは照れ隠しの為か目を逸らすと、困った様に横髪を弄った。そんな初々しい仕草に、胸が締め付けられる様な感覚を覚えた。
……ん?何でだろ?