第7章 おかしな烏野高校排球部
『今夜 王子と村娘は夢を見る』
※ ※
“借りてきた猫のよう”
そんな言葉を、目の前の彼女と対峙する俺はふと思い出す。
さて、どうしたものか。
俺───及川徹は俯いて座る少女を見詰め、グラスに口を付けた。
俺と彼女は、現在某所のレストランに来ていた。
そこは夜間まで営業しているカフェレストランで、お茶や食事も楽しめる飲食店である。全品低価格、且つ早くて美味しいということで、学生を中心に人気を集めている場所だ。
ここに青城の生徒が入って行くのもよく見かける。そんな場所に、『お茶をしないか』と誘ってみたわけだ、が。
────やっぱ、いきなり誘ったのはまずかったかな。
彼女は俯いたり、落ち着かないように店内を見回したりするばかりで、俺と目を合わそうとはしてくれない。俺に対して強い警戒心を抱いているようだった。
しかし、焦る必要は無い。
別に、俺に対しこういった反応を見せる子は初めてなんかじゃない。最初は緊張していても、後から少しずつ心を開いてくれるはずだ。
まずは、俺から話しかけてみよう。