第7章 おかしな烏野高校排球部
影山さんと共に最寄りのバスに乗り込む。デパート近くのバス停で降車すると、そこから歩いて数分程で目的のデパートに到着する。
少々古い外観だが、地元では一番規模の大きい建物である。あくまで地元では、だ。
恐らく都会では、このデパートなど『廃虚スポット』扱いを受けてしまうだろう。
私と影山さんは、1階の雑貨屋に足を踏み入れていた。レトロな雰囲気が特徴的な店内には、愛らしいぬいぐるみや、小人や動物等シックな風合いの小物が所狭しと置かれていた。ここならば、影山さんのお母さんが喜びそうな物も見つかりそうだ。
影山さんの所持金額は一万円と少しだそうで、一万円近くならプレゼントの選択肢はかなり広まるだろう。因みに、影山さんはあまりお金を使わない質だそうで、 買うものと言えば部活用品やスポーツ雑誌くらいだそうだ。私とは真逆なお金の使い方である。見習おう。
「影山さん、これなんかどうですか?」
私が最初に手にしたのは、アジアンテイストの精緻な刺繍が施されたポシェットだ。影山さんのお母さんの年代の方が持っていても似合うのではないだろうか。
影山さんはポシェットを手にすると、顰め面をして隅々まで確認する。ふんふんと頷くと、感心した様子で私を見る。
「ああ。 ……良いな、これ。」
「あ、ありがとうございますっ」