第7章 おかしな烏野高校排球部
「ふーん……」
「ほ、ホントですってば!!」
「そっかそっかー」
「も、もう!おっ、お疲れ様でした!」
「ふふっ。気を付けてね」
眩しい笑顔で手を振る潔子先輩に、思わず頬を綻ばせて手を振り返してしまう。ズルいぜ潔子先輩。
外に出ると生温い風を一身に受ける。その風に髪が乗って緩やかに靡く。顔をパシパシと叩くそれが鬱陶しくなり、豪快に髪を掻き上げて歩き出す。
男子バレーボール部の部室がある棟の前に着くと、影山さんと決めた待ち合わせ場所である階段付近で待機する。
静かな雰囲気が辺りに漂っている。そのゆったりとした時間は甘い毒のように私に染み込む。橙色に色付き始めた空を眺めていると、上のほうからガチャリと扉の開く音が聞こえてきた。