第7章 おかしな烏野高校排球部
「なーんか良い事でもあったのかー?」
「え、えっ?」
ニヤニヤと愉快そうに笑みを浮かべながら田中先輩は影山さんの前に屈み込む。その問いに、影山さんは激しく動揺を見せる。
「な、何でそう思うんですか…」
「え、そりゃあアレだよ!アレ! ……アレだよ!!」
「いやどれだよ」
スガ先輩が的確たるツッコミを入れる。月島さんと山口さんがプッと馬鹿にする気150%で吹きだすと、田中先輩は般若の如き顔で睨み返す。二人の遠慮無く馬鹿にしていくスタイル嫌いじゃないです。
見方を変えればフレンドリー、なのかもしれないが、フレンドリーと呼ぶには仲良し成分が少な過ぎる。そんな量じゃねるねるねるねも作れやしないぞ。
「と、とにかくだ!!えーとまあ、そのー男の勘てやつだよ!!」
「男の勘、すか……」
軽く呆気に取られている影山さんを他所に、田中先輩はバッと立ち上がり、腰に手を当てると、空いている手で拳を作り強く握り締める。
「そうだ!!男はな、理屈なんてもので動いてちゃいけねぇんだよ!!くだらん理論だのなんだのは、男の中の男にゃ必要ねぇんだ!!」
ババンという巨大な文字が背後に躍り出そうな程に、堂々と言い切る田中先輩。
こっそり拍手してしまった。田中先輩名言でっせそれ。
「おー!!カッケーこと言うじゃねぇかー!!さすが龍だぜ!!」
「お、おーよノヤっさん!!」
その言葉に西谷先輩も感銘を受けたのか、誇らしい友を見る眼差しを田中先輩に向けて、華の様な笑顔がその顔に咲いた。田中先輩も満更ではないのかフフンと腕を組んでみせる。
しかし田中先輩よ、その表情は『勢いに任せて言った言葉だけど何とか上手くいったな!!』って顔ですね。
「「か、カッコいいいいいいぃぃぃぃ……!!」」
日向と影山さんはそれもうキラッッキラな笑顔で見詰めておられますがね。