第7章 おかしな烏野高校排球部
「よっしゃッ。んじゃその可能性大なわけだから、いっちょ影山クンに突撃だぜ!」
「え、ええッ!?ちょ△△!!」
「いーからいーから。アタシももう部活行くしー」
いやそういう問題じゃないから。そんな声も尻目に、△△は自身の鞄を肩に引っ掛けると私の手首をむんずと掴む。私は慌てて床に落下してる自分の鞄を拾うと、△△に流されるまま教室の外へと引き摺り出される。
「かーげやーまクンッ」
「? あっ…」
「あ、ど、どうも…」
△△の声に反応して顔を上げた影山さんの顔から、眉間の皺が消え去る。見知らない顔に影山さんは僅かに驚いた表情を見せた。そりゃそうなるわな。影山さんの戸惑った視線が絡んだので、とりあえず挨拶をして会釈をしておいた。
「もしかして伊鶴に用?」
ずいと影山さんに詰め寄って問い掛ける△△に対し、影山さんは少々困惑して息を飲んだ。
「っス」
「…ふ~~ん。そっかそっかぁ~~~……」
こくんと首を縦に軽く振った影山さんの様子に、△△はにんまりと満足気に笑みを浮かべ、粘ついた声音を吐いた。
「んっふっふ~~~じゃあアタシはこれでぇ~~~」
△△は軽やかに踵を返すと、後ろ手にひらひらと宙で手を振る。
「えっ、ちょ、何か話でもあるんじゃないの?!」
「え?いや全然。ちょぉ~~っと気になっただけだしぃ」
くるんと華麗に一回転して振り返った彼女は心底愉快そうに笑顔を浮かべている。いや何なの貴様は。
「それに……んっふふふっ。アタシが居ると彼としては面白くないっしょ?」
「!」
不意に隣に立つ影山さんの肩がピクッと撥ねる。すると△△はパンッと軽快に自身の両手を打った。
「はい図星いっちょ~~~。じゃあどうぞお二人で楽しんでね~~」
嵐の様に場を掻き乱し嵐の如く去った彼女の後に、私達はぽつんと佇むしかなかった。