第7章 おかしな烏野高校排球部
鴨一は自分の中に、女性に対していくつかのチェック項目を設けている。髪型から顔の部位の細やかな部分、脚の形まで詳細な項目を設けているのだ。
それに一つでも多く当てはまった女性を標的とし、思わせぶりな言動と行動を巧みに駆使して距離を縮めていく。そして結果的に相手の女性は鴨一に告白をするに至る。
しかし鴨一にとっては、好いた相手でも何でも無い為あっさりとふるが、それでも諦めきれない女性は鴨一に『一回だけ』と頼み込むか、又は鴨一が相手に諦めさせる為に『一回だけ』と提案するだ。
そんな最低極まりない彼の遊びが、ある日を境にぷっつりと途絶えることとなる。
それは、あるきっかけで彼の遊びが妹伊鶴に発覚してしまう。伊鶴は当然鴨一を叱り、軽蔑を見せた。初めて本気で伊鶴に呆れられた鴨一は大きなショックを浴びる。その出来事を境に、鴨一は二度と女性と関係を結ぶことはなくなった。
どれ程女性に言い寄られようと、決して靡く事は無い。何故かと問われればきっと鴨一の答えは―――――。
『だって伊鶴に嫌われるから』
その一つしか無いのだろう。
鴨一は校舎を後にすると、学校の敷地内に駐車していた白塗りの車に乗り込む。出勤する際には乗車しない母親から借りたものだ。
シートに腰を降ろすと、作業ズボンのポケットから大義そうに煙草の箱を取り出す。一本口に咥えるとライターで火を付ける。苦い煙を吸い込み、深く息を吐き出した。独特の臭気が車内に満ちるが、鴨一は気にも留めずに窓の外に目を向ける。