第7章 おかしな烏野高校排球部
「そ、そうですか…」
どうやら追求されたくないようなので大人しく引き下がる。これ以上踏み込むつもりなど無いが、やはり鴨一兄さんが何を言ったのか気に掛かる。
「…なぁ瀬戸」
「あ、は、はいっ。何ですか?」
脳の引き出しを漁り、兄さんの口走りそうな事を推測していると、影山さんが声を掛けてきた。不意打ちだった為軽く声が上擦った事は内緒である。
「お前と鴨一さんて仲悪いのか?」
「えっ……?」
唐突な質問に思わず目を丸くする。私の反応に、影山さんは可愛らしく小首を傾げる。これを素でやれちゃうから凄いよな。しかも似合ってる。
「それおれも思った!!瀬戸はお兄さん嫌いなのか?」
「こ、こらこら日向に影山!あんまり人の家庭に踏み込むのは良くないべ!!」
「あ、いえいえ大丈夫ですよスガ先輩。私は平気ですから」
二人の発言を青い顔で牽制するスガ先輩に、私は慌てて宥める。スガ先輩の姿はホントおかんだ。私も見習いたいものだ。
「んー…嫌いっていうより、ちょっと、苦手?なのかも、しれないです」
「「「苦手??」」」
声を揃えて私の言葉を反芻する皆んなに、声を発する代わりに頷きを返す。
「男だからか?」
「いえ、そうじゃなくて…何というか、その…」
田中先輩の問いに、私は言葉を詰まらせ沈思する。散々悩んだ末に出てきた答えをぽつりと口にする。
「情けない話なんですが…私、鴨一兄さんの考えてることが、よく分からないんです」