第7章 おかしな烏野高校排球部
「工事…」
「現場…」
日向の言葉の先を、影山さんが自然と引き継ぐ。
ポカンと口を開け、四人は鴨一兄さんを見詰める。その様子に鴨一兄さんは頬を掻く。
「あー…うん、ごめんね。華やかなバイトじゃなかったよね」
相変わらず笑みを浮かべているが、その中に罪悪感の色が落とされている。先程の期待に満ちた表情から、この様に変化されてしまうと仕方の無い事である。私もコイツの立場だったら謝ってしまう。罪悪感メーターカンスト不回避になる。
主将達が憂色を浮かべた表情で、鴨一兄さんと四人達に交互に視線を走らせる。鴨一兄さんに気を遣ってか、主将が口を開いた。
「「「か、カッコいい~~……!!」」」
「「「「えっ??」」」」
不意に四人が発した言葉に、私達は遠慮無く反応する。次には堰を切ったように四人から言葉が溢れ出す。
西谷「超カッコいいっス!!憧れます!!」
田中「俺もバイトする時は工事現場にするっス!!」
日向「すげえええええええ!!俺でもそこで働けますか?!」
影山「…!…!!」
影山さん声になってないっスよ。しかし凄くキラキラしてる。鴨一兄さんは数秒目を瞬かせるが、すぐに笑顔を浮かべた。
「アハハ、うん。なれるなれる。バイトするんだったら俺んとこおいで」
「「「「あざース!!!」」」」
「な、なあ瀬戸」
「ッ! …はい、どうかされましたか?」
突然主将に声をかけられ、思わず肩が撥ねた。主将の顔を見ると、少し不安気な表情で私の手首を掴み、兄さん含む五人から少し引き離す。お、おおう?どうしたどうした。
「その、お兄さん怒ってないか?」
「え?いえ、大丈夫ですよ。兄さんは滅多に怒りませんから」
「そうなのか?」
「はい。 …?何か気になることが?」