第7章 おかしな烏野高校排球部
「…アンタ誰って言いたいんだよ。察しろ」
「「「「 ! 」」」」
皆の心中を代弁すると、“アレ”はケケケと肩を震わせる。うん?と思い眼前へ瞳を向けると、驚愕を浮かべる皆と瞳が絡む。
「…?」
「口を開くとつくづく残念だよね、伊鶴って」
「ッ!!! …」
目を見開き、すぐに肩を落として口元を押さえる。最悪だ。公衆の面前でこんな口の利き方してしまうとは失態でしかない。重い溜め息が口を押える指の隙間から零れていく。
「本性くらい隠しなよぉ」
捻るぞこの野郎。
再び口を突いて出そうになった言葉を飲み下す。その代わり殺意を込めた視線を横に立つ奴にブン投げる。しかし奴は全く歯牙にも掛けずに、皆に向かって笑みを向け続ける。
「突然お邪魔しておいて、ごめんねぇ」
申し訳無さそうに微笑む男の顔は、人畜無害な青年に映るがそんなのはとんでもない。
「初めまして、烏野バレー部の皆さん。
俺の名前は”瀬戸”鴨一。
瀬戸伊鶴の─────兄です」