第7章 おかしな烏野高校排球部
「え、どうゆこ、」
「詳しい事は全てが終わった後に話しますっ、それでは!」
「ええちょっ、おい瀬戸!!」
田中先輩の声を振り切り、私は用具室へと走り出す。後方から皆の呼び掛ける声が飛来しており、申し訳ない気持ちが溢れ返るが、それらを飲み下して用具室の中へと滑り込む。
私は扉を背にその場に腰を降ろす。乱れた呼吸を整える為深く息を吸う。
用具室は薄暗さと冷たさで満たされていた。長年使用されているボールやマットなどの備品からくるものなのか、錆や埃、カビ等の臭気も入り混じっている。それらの要素により、用具室の中に居るのはどことなく居心地が悪い。しかしこれしか対処法が思い浮かばなかった。
もうすぐ、“アレ”が来てしまうから。
──────ガラガラがラッ!
古びた鉄の扉が開く音がした。体育館出入り口の扉が開いたのだと認知する。心臓がバクバクと煩わしい程音を立てる。
「すいまーせん。ここって、男子バレー部さんですかー?」
扉越しでも伝わる、わざとらしい程明るく軽快な声。しかしその声の裏に垣間見える甘ったるさ。その声が鼓膜を震わせた瞬間一気に汗が皮膚から噴き出た。
“アレ”が、来てしまった。