第7章 おかしな烏野高校排球部
「ん、伊鶴ちゃんどうしたの?」
絶望と動揺により震撼する私に気付き、潔子先輩が可愛らしくタコさんウインナーを咥えながら問い掛けた。
「無い…」
「無い?」
「お弁当が…」
「えっ、本当?!」
「マジっス…。そういえば今日寝坊して、焦って持ってくるの忘れてました…」
頭が自然と項垂れ、額が体育館の床に付く。ショックだ。何この絶望感。昨日頑張ってやった課題忘れるのと同じ気持ち。あれで半日くらいへこむタイプ。
「はぁぁぁぁぁあああああ…超ショック…」
「伊鶴ちゃん、良かったら私のお弁当食べて?」
女神のような潔子先輩の言葉に、ガバッと勢いよく顔を上げる。
「そんなの出来ません!!自分の失態なのに、潔子先輩のご飯に手なんか出せば罰が当たります!!」
「でも、何か食べなきゃ持たないよ!伊鶴ちゃんが心配なの!!」
嗚呼、女神。
とかデレてる場合じゃない!潔子先輩を何とか説得せねば。女神のような申し出はとても嬉しいが、潔子先輩のご飯を取ってしまったという罪悪感が自分に起こることは、火を見るよりも明らかなのだ。それに潔子先輩にお腹を空かせて欲しくない。
「ダメです潔子先輩!ちゃんと食べてください!潔子先輩にお腹空かせて欲しくないです!!」
「それを言うなら私だって!!良いから私の食べて!!」
「あーもー潔子先輩のわからんちん!!」
「わ、わからんちん??よ、よく分からないけど伊鶴ちゃんも私の気持ち分かってくれてないじゃない!!」