• テキストサイズ

【ハイキュー!!】行け!烏野高校排球部

第7章 おかしな烏野高校排球部


「あの木に引っかかっていた。それってつまり、誰かが使っていたってことですよね。きっとここで練習してたのか、友達とかと遊んでたりしてて、その時に引っかかって取れなくなっちゃったんでしょう」
彼はボールの輪郭を愛おしそうになぞる。その光景はまるで一枚の精巧な絵画のようだ。
「今はこんなにボロボロになっちゃったけど、それでもこのボールを使っていた人が居たのは確かな事実で。きっとこのボールにはたくさんの思いや、思い出が詰まってると思うんです。それを、このまま木に引っかかったままに、出来なかったんです。だって、俺も、







──────バレーが好きだから」



そう言って、彼は屈託無く笑みを見せた。虚構の貼り付けた笑顔なんかではない、本当の笑顔。やっと垣間見えた彼の本当の姿に安堵にも似た喜びが芽生える。
そうか、彼も、烏野のみんなと同じバレーが好きな人なんだ。

「…何だか、会えて良かったです」
「え?」
「え、あ、いえ、その、ボ、ボールが、その…あなたのような人に取ってもらえて、きっと、喜んでます」
彼は少し驚いたように目を見開くが、また微笑みを浮かべる。
「ありがとうございます、嬉しいです」

今度も偽物ではない笑顔を見せてくれた。それだけで
胸がまた温かくなる。







気付けば曇り空は、晴れていた。

/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp