第7章 おかしな烏野高校排球部
「ご、ごめんなさい……!」
口から自然に謝罪が滑り出てきた。すると彼はハッとしたように手首を掴んでいた手を離す。
「す、すみませんッ!大丈夫ですか?!」
掴まれていた手首に視線を移す。そこには指の痕が赤く色付き、強い力が込められていた事が容易に理解出来る。実際掴まれていた部分がじんじんと少し痛む。
「あ……」
彼の小さな呟きが聞こえ、私は反射的に顔を上げ彼の顔を見る。彼の瞳は私の手首に固定されていて、今度は彼の方が顔面蒼白になっていた。
「すみません!俺っ、」
「あ、いえ良いんですっ、大丈夫です」
「大丈夫なわけないじゃないですか!手見せて下さい!」
「ホントに大したことな、」
「いいから見せてください!手当てを、」
「いえホントに! ……ホントに、平気ですから」
不安に駆られて混乱する彼に言い聞かせるように言うと、再び彼はハッとした表情を浮かべる。冷静さを取り戻したように、ベンチから乗り出していた上半身を元通りに起こす。
良かった、ちょっと今も怖かったよこの人……。