第1章 瞳の先
「だから、お願いします!!」
「お願いしゃすッッ!!」
言葉の勢いにまかせて頭を下げる。私の言葉に続いて日向も頭を下げた。西谷先輩は静かに立ったまま動かない。
そういば口に出して西谷先輩って呼んだことなかったなーとかどうでも良い事が脳裏を巡る。しばらくすると頭の上から声が降ってきた。
「・・・・・・お前ら・・・・・・」
「「!?」」
私達はビクリとなって顔を上げた。西谷先輩はゆらりと動く。な・・・・まさかお怒りか・・・・・?!
「練習の後で・・・・ガリガリ君奢ってやる・・・・」
「えっ!?」
日向も吃驚な展開だ。私も整理がついてない。というかもう気力は使い果たした。もう疲れたよパトラッシュ・・・・目の前の西谷先輩は右手で胸元を強く叩く。
「なんつっても俺は―――――“先輩”だからなッ!!!」
「「!!!」」
か、かっけ――――!!てか上手くいったぁぁぁ・・・!!
良かった、戻ってきてくれ、
「でも部活に戻るわけじゃないからな!お前に教えてやる
だけだからな!!後瀬戸に見せてやるだけだかんな!!」
ちゃっかりしてらっしゃる。