第1章 瞳の先
「うえええぇぇぇぇぇ!!やっぱ瀬戸じゃなきゃダメなんだぁぁぁぁああああああ!!」
「えッ?どういうこと日向・・・?!」
日向の勢いに押されて声量が引き気味になった。涙を含んだ瞳が縋る様に私を見詰める。涙を零すのを必死に堪える為に歪んだ唇が開く。
「俺一人で止めれる自信あんまりなかったから瀬戸を連れて来たんだよぉ~~・・・でも出来る限り自分で止めようと思ったのにぃ~~・・・やっぱダメだったぁ~~!お願い助けて瀬戸~~~~~!!」
日向がズイと顔を近付ける。大きな瞳がより近くなり、心が揺らぐ。うっ・・・!断れば私は確実に罪人だ!これも日向のコミュ力のなせる技なのか?!
「わっ、わかった・・・・・出来るだけやってみる・・・」
「! ありがとう瀬戸!!」
日向に笑顔の大輪が咲く。そんな表情をされてしまうと失敗できないジャマイカ。心に重圧が上乗せされたのが感じられた。ヤバいもう髪の毛抜けそうな気がする。ええいもうままよ!!
「にっ!西谷先輩ッ!!待ってください!!」
「!!!」
日向と共に西谷先輩を追いかけ、ある程度近付いたところで呼びかけた。西谷先輩が歩みを止め、振り返った。
先輩は目を見開き驚愕をありありと浮かべている。私の口内はカラカラに渇ききっているが再度声を絞る。
「私、西谷先輩のレシーブ、もう一度でも良いので見たいです!」
「な、な!」
西谷先輩の顔が僅かに赤らんだ。それ以上に私は緊張で顔真っ赤だと思いますですしおすし。男子にこんな声張るのとか小学校以来だ。しかも先輩デスヨ。もう死ねる。