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【ハイキュー!!】行け!烏野高校排球部

第6章 手に手をとって


烏野の皆も手を振り終え、学校に向かい歩き出す。潔子先輩は家の近くの地点で皆と別れる。その時に田中先輩と西谷先輩が泣きじゃくったのは言わずもがな。



潔子先輩と別れた後、皆の一番後ろをとぼとぼと歩く。夕焼けが神秘的に皆を照らす光景を見詰める。言い知れない気持ちが胸に空いた穴を吹き抜ける。虚しさにも似た気持ちに感じるが、どこか違うような気もする。ふわふわとした頭で歩き続けていると、不意に隣に誰かが来るのを感じる。


「影山さん…」
「どうか、したのか。元気無いみたいだ」
「そうかも、しれないです…。理由は、全然分からないんですけ…」
バックの紐を強く掴んで俯く。本当に理由は分からない。しかし、何故か無性に泣き出したくなる思いが膨れ上がってくる。今にも子供のようにわんわんと泣き出しそうだ。瞳が潤んできて視界がぐらりと揺らぎ始めた時、不意にこの感情を理解する。そうだ、この感情は、











孤独からくる、寂しさだ。














「大丈夫だ瀬戸」

「──────────えっ?」




影山さんの声で顔を上げると、烏野の皆が足を止め、私を見詰めていた。突然のことに私も足を止めて皆を見渡す。真剣な表情を浮かべる皆に、不安な気持ちが湧き上がってくる。

不意に主将が私に歩み寄って来る。厳粛な面持ちの主将に思わず足が竦む。目の前まで来ると、主将は足を止め、スッと手を伸ばしてくる。反射的に瞼を降ろす。すると、





主将は強く私の両肩を掴んだ。


私は驚いて主将を見詰め返すと、主将は静かに、そして力強く言い放った。












「心配しなくても良い。俺達は、ちゃんとここに居る。俺達は、仲間だろ」













皆の顔に咲き誇った笑顔は、夕焼けよりを鮮やかで、強く私の瞳に焼き付く。眩しいそれに目を細めると、不思議と自身の頬は綻び、口角が上がるのを感じた。でも、それを覆い隠す事はしなかった。




「────────はい…!」

















彼らは、私を仲間と呼んでくれるから。



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