第6章 手に手をとって
黒尾さんの表情に暫しの間言葉を失うが、私は自身の思いを口にする。
「……そう言ってもらえて、とても、嬉しいです。でも…」
黒尾さんは僅かに目を見開く。どこか戸惑ったように両手を離すと、私の言葉に静かに待った。
「私は烏野の皆の力になりたい。皆の為に、自分に出来る事ならどんなことでもしたい。そう、心に、決めてるんです」
私は自分の胸に拳を押し当てる。心臓の鼓動が静かに伝わってくる。規則正しい心地良い音に緊張は晴れていく。
黒尾さんの顔を見上げる。目元に髪が掛かり、澄んだ黒い瞳が見えない。口も真一文字に結ばれ、黒尾さんの心情を読み取ることは出来ない。
それでも、私の言葉を聞いていて欲しい。
「私は、烏野の皆の、マネージャーですから」