第6章 手に手をとって
くっそうまた笑われたんだが。あの時のデジャヴ感半端ない。ていうかまだ爆笑してる左斜め前の鶏冠さん殴って良いですか。
菅原「瀬戸ー。リラックスだべー!」
東峰「自分の思ったこと素直に言えば大丈夫だぞ!」
澤村「失敗したって大丈夫だ!俺達がついてるぞ!」
最年長三人組の皆さんから声援を頂きました。無邪気だった小学生の保護者参観を思い出して、ちょっとほっこりして落ち着いた。最年長の安心感さすが過ぎ。
声援も貰い、気を取り直して顔を上げる。爆笑していた黒尾さんは孤爪さんが脛を蹴って止めてくれた。凄く痛そうで身震いしたが、爆笑されたままでは私も困るので孤爪さんに感謝だ。
「え、ええと…その…」
戸惑いながらも声を出す。音駒の皆さんの真剣な視線が浴びせられて緊張感が引き上げられるが、両手を強く握り合わせて気を保つ。
「わ、私、その…み、皆さんのマネージャーが出来て、とても良かったです…。とても良い経験に、なりました。今日は、本当にありがとうございましたっ」
緊張と気恥ずかしさの中、思いを伝えた。言い終えて頭を下げると、頭の中に鮮明さが戻ってくる。恥ずかしかったが、不思議と胸が透くような気分だ。何だろうコレとか思っていると、不意に声が鼓膜を振るわせる。
「こちらこそッ!!ありがとうございましたッッ────!!」
「「「「ありがとうございましたッッ───────!!」」」」
驚いて顔を上げると、再び音駒の皆さんが礼をしていた。面食らって思わず凝視をしていると、音駒の皆さんがパラパラと体勢を戻す。それにより露わになったみんなの表情は、明るい表情に彩られていた。