第6章 手に手をとって
「彼を信頼して…トスを打ってくれて、日向も、影山さんを信頼して、飛んでっ…点、を、取れるようになって!日向を、強くして、く、れてッ……!!」
堪え切れなくなった涙が溢れ出した。乱暴にジャージの袖で拭うが一向に止まる気配は無い。目元を袖で覆いながら、言葉を吐き続ける。たくさん影山さんに伝えたい事があって、我先にとたくさんの思いが先走りしてちぐはぐな姿になってしてしまっている。
でも、聞いて欲しい。影山さんに聞いて欲しい。一番伝えたかった事を。
「────本当に、ありがとう、ございます……!!」
不意に、大きな手が、私の右手を握り締める。
突然の事に瞳を瞬かせると、目元から雫が落下する。それにより鮮明になった視界に映ったのは、雫が大きな手にぽたりと落ちて撥ねた光景。
ゆっくりと顔を上げると、青みががった美しい黒い瞳と視線が絡み合う。