第1章 瞳の先
おっとここで日向選手!西谷選手を落としに掛かります!さすが日向選手!!リベロを褒めた流れで西谷選手を褒め始めるとは!!
「守っ!?な、そん、なんだソレッ、そんな大げさな呼び方されたって俺は別にっ!」
よそうどおり! ニシノヤせんぱいはそわそわしている!こうかはばつくんだ!
「ホントに言ってた?」
言ってましたとあっけらかんと日向は答える。私は入部したてのホヤホヤなので全く知らないがどうやら本当らしい。西谷先輩にぴったりだ。クソーカッコいいぜちくしょう。
そんなカッコイイ名前で呼んだってなァー 俺はなァー そう簡単にはなァー チクショー 大地さんめええええええ
西谷先輩は照れ隠しなのか選手宣誓みたいに『俺は嬉しくなんかないぞこの野郎』みたいに叫んでいる。もう嬉しく仕方無いのが溢れまくっていて何だか私は微笑ましい気持ちになってしまう。もういくらでも呼んであげますみたいな。
「おれ・・・・まだレシーブへたくそで・・・・」
不意に日向がポツリと呟いた。私は日向へ顔を向ける。
「バレーボールで、一番大事なトコなのに・・・・・!」
何か悔しい思いを噛み締めているかのように言葉を吐く。その言葉はまるで、懺悔のようだ。もしかすると前に見た対青葉城西高校で、何か自分の欠点を見つけたのだろうか。
「・・・・・」
西谷先輩も日向を見詰め、次の日向の言葉を待つ。
「だから、レシーブ教えて下さい!!西――――・・・西谷先輩!!」
「――――――――!!!」