第6章 手に手をとって
「クロがこの先どうするかは分からないけど、どの道なってあげれば良いと思う。クロなら出来るよ。それに、瀬戸があのセッターくんと一緒に居ることを望んでいるかもしれないっていうのはクロの憶測でしょ?勝手に突っ走らないの」
「うっ!」
研磨に正論を吐かれ、黒尾は再び肩を竦める。
「そうと決まったわけじゃないし、これから瀬戸とセッターくんがどうなるかも分からないし、これから会う誰かが瀬戸と一緒になるのかもしれない。分からないことだらけじゃん」
「お、おっしゃる通りです…」
黒尾は遂に頭が垂れ下がり、膝に額を着けてしまう。研磨が一枚上手である。
研磨は黒尾に嘆息する。しかし、ふっと研磨の瞳が柔らかい眼差しを帯びる。
「でも、そんな分からないことだらけだけど、クロは瀬戸の一番の理解者になってあげれば良い。瀬戸が悩んでる時、苦しいとき、道に迷ったとき、一番に相談に乗って欲しいと思う存在。それになってあげれば良い。この先、ずっと」
黒尾は研磨の言葉を聞き、深く溜息を吐き、再びタオルに顔を埋める。
「あー何つーかさぁ~…あーもっー…」
不意に勢い良く顔を上げ、研磨を見る。
「やっぱ研磨にゃ敵わねーや…」
泣き出しそうな笑みでそう言った。
研磨は数秒固まり、照れ臭さを隠すようにぎこちなく視線を外し、言葉を投げ返した。
「──────当たり前じゃん。クロの一番の理解者だからね」