第6章 手に手をとって
「か、影山さん…?」
そう呟くと、影山さんはゆっくりとこちらに近付いて来る。どこか真剣味を帯びたその表情に胸がドクッと脈を打った。
「瀬戸、二人で、話でもしないか?」
「えっ!」
「嫌か……?」
「あ、いえ、そうじゃなくて…!」
突然の誘いに顔が熱くなる。先程の手を繋いだ一件を不意に思い出し、更に赤面する。い、今思い出すなよ私。今現在黒尾さんと会話していた為、黒尾さんの許可無しには行けないと思い、黒尾さんにちらりと視線を投げる。
「いーよいーよ若者諸君。ゆっくり話しといでー。俺は研磨クンとお話するしー」
黒尾さんは半ば強引に孤爪さんを引っ張り肩を組む。ニッと笑みを浮かべる黒尾さんとは対照的に、孤爪さんはスマホを弄りつつ不快そうに眉を顰める。何かすみません。
「す、すみません、ありがとうございます」
「あざっス…」
私は軽くお辞儀をすると、影山さんもコクンと軽くお辞儀をする。黒尾さんは宙でひらひらと手をこちらに振る。
「いえいえー」
「別に、二人はお礼言わなくても良いよ。ウザイのクロだから…」
「えっ!俺?!」
そんな二人にもう一度お辞儀をすると、影山さんと共にその場を後にする。