第6章 手に手をとって
* * *
「あ!あにょ!!」
「「あ、あにょ…?」」
突然日向から発せられた謎の言葉に、私達は鸚鵡返しに問い返すことしか出来なかった。日向は何故か緊張した様子で、顔も真っ赤に染まっている。
「あ、いやあの!!あのって言いたかったんです!!」
ああ、噛んだだけか。新しい流行語候補かと思った。
「それで、どうかしたの?」
潔子先輩は可愛く小首を傾げて日向に問い掛ける。素でそんな可愛い事しちゃう潔子先輩可愛過ぎてどうしたら良いか分からん。日向もドキッとしたのか更に背筋がピンとする。口元もあわあわしているが、喋ろうと必死に努める。
「ふぁ、ふぁい!!あの!!あの!!お二人とも!!」
日向深呼吸して。このままぶっ倒れないか心配になってきた。
そんな私の心配を察したかのようにタイミング良く日向は深く息を吸うと、一息に言い放った。
「い、一緒にあっちで!!遊んでくれませんかッ??!!」
「「!?」」
大胆なお誘いに私達は目を丸くする。対する日向は大義を成し遂げたかのようにぐったりと肩の力を抜く。
何か、お疲れ日向。
と、不意に日向の後方から小さな歓声が耳を掠める。何だろうかと思い、日向を避けるように横にひょいと身を乗り出す。すると、そこには男性陣が女子のように身を寄せ合って日向を見守っている。
……なるほど、あの人達に頼まれたのか。それかじゃんけんで負けた人が行くーとかなったのかな。一人で微妙に納得すると、潔子先輩に向き直る。
「潔子先輩、どうします?」
「ん~~…」
潔子先輩は少し視線を逸らすと、唇を軽く突き出し考え始める。何この人一挙手一投足が可愛過ぎンだろ抱き締めるぞコラ。