第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
音駒の皆も意見を貰い終えたのかパラパラと音駒側へと戻って来る。
確かこれから片付けだった筈だ。私も片付けしなきゃ。そう考え、ドリンクのボトルを手に取ろうとした時、
「瀬戸―――――――ッッ!!」
カランカランッ!!
突然の大声が私を呼んだ。あまりの事に私はボトルを数本取り落としてしまう。空のボトルは空虚な音を立てて転がった。
な、何ぞや急にと思って声のした方向へと振り返ると、フンスと鼻息荒く日向が立っていた。そしてその隣には目を白黒とさせて両耳を塞ぐ影山さんが居た。隣だったら尚更耳痛いですよね。分かります。
はたと影山さんに目を留める。影山さんのユニフォームの裾がみょんと引っ張られ、その裾の下に適度に筋肉の付いた腹部が見えている。伸びている方向へ目をやると、日向が影山さんのユニフォームの裾をむんずと掴んでいた。
……ひょっとしなくても無理矢理引っ張って来たんだな日向。
「あ、あの、二人とも、何か…?」
というか主に日向。無理矢理影山さんを引っ張ってまでどうしたんだい。
「瀬戸ッ!!」
「は、はいっ」
日向は目を輝かせながら再び名前を呼んだ。影山さんは頭に疑問符浮かべながら、私と日向と瞳を右往左往させている。どうやら何が何かも分からず連れて来られたらしい。拉致か日向。
そんな影山さんを尻目に、日向は大きく息を吸って口を開く。