第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
「うぬっ!?何なんだ!目茶苦茶動いてるだろ!?体力底無しか!!」
いや、体力ブラックホールじゃないですかね。
「コラコラコラ!だめだ!新幹線の時間があるんだ!」
「~~~~っ!」
駄々を捏ねる日向を鳥養コーチが猫の様に襟を掴む。ブランと下がる日向は、物悲しそうに顔を歪める。なんて悲しそうな顔だろう。あんなに動いてたのに疲れてる感じすらしないし…。
「また音駒(うち)とやりたいなら、公式戦だ」
「!」
猫又監督の言葉に私は軽く目を見開く。公式戦。その言葉にざわりとしたのは私だけでなく、烏野の皆もだった。
「全国の舞台。沢山の観客の前で、数多の感情渦巻く場所で、ピカッピカのキラッキラのでっかい体育館で、“ゴミ捨て場の決戦”、最高の勝負───やろうや」
「「「「────!!」」」」
歌うように紡がれた言葉に、烏野の皆は花が咲いたような表情で返事をする。
「「「「ハイッ!!」」」」