第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
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「もう一回!!」
日向の大声が体育館中に響き渡る。
その声に、私も含め皆驚愕を浮かべる。只、西谷先輩はパアッと嬉しそうにしている。元気一杯かお二人は。猫又監督はニシシと笑みを浮かべると、寛大に頷いた。
「おう、そのつもりだ!“もう一回”がありえるのが練習試合だからなっ」
その言葉に喜色満面の表情を浮かべる日向。その後方で、呆れたように、しかしどこか嬉しそうな表情をする影山さんが居た。
私はその二人を見て、また嬉しさが沸き、頬が綻んだ。
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2試合目:1セット 烏野22対25音駒
2セット 烏野24対26音駒
3試合目:1セット 烏野25対27音駒
2セット 烏野30対32音駒
1試合目が終了し、その後も2回試合を行ったが、全て音駒の皆が勝利を収めた。全ての試合を通して見て、音駒は総合力が高いのだと気付いた。烏野の皆は、まだ個々の力が特出している域で、その個々が力技で平らにしているという風に感じる。その部分は、これから皆の課題となっていくだろう。
コートに立つ皆は、最早息も絶え絶えの状態で、これ以上試合をすれば確実にコートに死屍累々が積み上がるだろう。これはさすが日向もバテ、
「もう一回!!」
てなかった。
まさか過ぎる日向の発言に、影山さんもギョッとしている。