第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
* * *
音駒の技術力に圧倒されながらも、烏野の皆は必死に食らいついた。
どんなに負けそうでも、折れることなく、必死に。でも───
「強いスパイクを打てる方が、勝つんじゃあないんだ」
海さんが返したボールに、瞬時に孤爪さんが反応する。そのボールにトッと手を添え、
────────ボッ!!
孤爪さんは力強くボールを弾き飛ばす。予想外の事に、烏野の皆は反応が鈍った。ネットを越えていくボールに、スガ先輩はすぐさま嫌な予感を感じ取り、力の限り叫ぶ。
「ヤバイ!!下がれ下がれッ!!!」
重力で落下していくボールに、日向と西谷先輩は追いかける。
「ボールを落とした方が、負けるんだ」
───────トッ
「─────これが、“繋ぐ”ということだ」
ボールは、あっけなく地に付いて、跳ねた。
セットカウント 2-0 勝者:音駒高校