第1章 瞳の先
暢気なことを考えていると、清水先輩の元へミサイルの様に一直線に向かう西谷先輩が遂に彼女の目の前まで来た。するとまるで羽ばたく鳥の様なポーズで跳躍した。・・・・この先輩、飛ぶぞ!!
清水先輩のみならず西谷先輩を追っていた田中先輩もギョッとしていた。
「相変わらず嵐のようだな・・・・」
「ゲリラ豪雨・・・」
だれが上手いことを言えと。
「・・・・」
あ、影山さんも何か上手い例え言ってくれるかと思ったんだけど、言うわけないか・・・・。
「ハハハハッ!喧しいだろ!」
主将が私達に向かって言った。反射的に主将に目をやる。主将は顔を前にすると、柔らかい笑顔から一転して張り詰めた様な笑みを浮かべた。
「・・・でも、プレーはびっくりするくらい──────」
そう主将が言った瞬間、西谷先輩のレシーブが脳裏で再生された。
「静か──────」
主将の言葉は西谷先輩のプレーを例えるには相応しい言葉だと思った。普通はもっと鈍った音がするものだが、西谷先輩のレシーブは異様な程静かだ。それに本人がよく喋るというギャップもあり、その奇跡的なプレーは際立つ。何ていうか、個人的にそのギャップに凄くカッコいいと思わざるおえない(真顔)
「俺のとは音が違ったもんな・・・・」
「日向のレシーブはどんな音?」
「・・・・・・・工事現場の破壊音」
俺のとは音が違うって枠に収めて良いのかそれ。