第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
* * *
───まるでそれは、首を絞められていくような感覚なのだ。自分の攻撃が止められるのは。
“するりと手が伸びて来て、自分の攻撃を捕らえようと這い出てくる。その手が見えた瞬間、いつも私は肝が冷えた。
相手が止められなかったら、次は止められないだろうかと不安になる。
相手が止められたら、次も通用しなかったらどうしようかと不安になる。
常に不安は私を押し潰そうと後をついて回る。だから私は、強くなろうとした。誰にも負けないように、仲間の足を引っ張らないようにと。
でも、それは─────”
突然、昔の記憶がフラッシュバックした。今目の前で起きた事態が原因だろうか。
心の底でありえないと思っていたことが起きたことは、私に強烈な驚きをもたらした。この二人の攻撃を止められる人など居ないと思っていたのに。でも、今、目の前で、
「やっと捕まえた!!」
犬岡さんが、止めた。
第一セット終了 ───烏野22点 音駒25点