第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
「でも、この戦い方は、誰でも出来る方法じゃない…」
「「「!!」」」
皆は再度驚愕を浮かべる。しかし、今だ驚きによって言葉を失われ続けているようだった。
「さっきも言ったように、孤爪さんの力を最大限活かす為には、他の皆さんがしっかりと動かなければならない……。孤爪さんの思惑が狂ってしまわないように、しっかりと。つまりそれは、一人一人の能力が高くなければ難しい。そして、
─────皆が、お互いを信頼し合っていなければ、出来ない」
思考を全て吐き出すと、静かに皆の表情に目をやる。全員揃えたように驚きに満ちていた。それを見て、次第に私は沸々と顔が熱を帯びていくのを感じた。
私、今一体何してた………?
試合前の『暗示』と、音駒の『強み』。
この二つについての事を悟り、私は興奮を抑えられなかった。しかし私はあまりにも興奮してしまい、逆に冷静になるという状態になったのだ、と思う。
しかし、冷静になったとしてもそれは表向きだ。内心ヒャッハー状態が収まったわけでも何でもない。その勢いに流されるがままどんぶらこっこと好き放題言ってしまったのだ。
終 わ っ た。 腹 切 ろ。