第5章 猫は鴉へ爪を突き刺す
「…翔陽が攻撃の軸…なら、止めちゃえばいい……」
私は、呆然とした。それと同時に、全てが繋がっていく感覚がした。
「縦横無尽に動かれて捕まえらんないなら、その動く範囲を狭くしちゃえばいいよ。そんで後はひたすら“追っかける”…犬岡」
「ハイっス!」
「ウチで一番すばしっこいのお前だよね」
「あざッス!!ハイッス!!」
孤爪さんが呟くように組み立てていく戦略に、私の中で繋がった『暗示の答え』が、同時に『音駒の強さ』の答えの姿を見せた。彼は、孤爪さんは。
「確かにあんな攻撃、最初見た時は誰でもびっくりするんだと思う。俺もびっくりした…でも、」
そう言葉を綴りながら、孤爪さんは日向に目を向けた。彼が今何を思っているのか、私には分からない。
「最初クリア出来そうにないゲームも───繰り返すうちに、慣れるんだよ」
嗚呼、やっぱり、彼は…きっとそうだ。
「ん?瀬戸どうした。さっきから研磨ばっか見てるけど。何々?研磨に惚れちゃった?」
「んなっ!!??」
「山本、冗談なんだから真に受けない。ていうかクロも妙な冗談やめなよみっともな、」
「やっと、分かったんです」