第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
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「────俺らから目ぇ逸らすんじゃねぇぞ瀬戸」
そう言い放つと、俺らはコートへと歩んでいく。俺は今どんな表情をしているのだろう。
自分の口元に手を添えると、俺の唇は釣り上がっていた。まあ、だろうなぁ。自身の胸中は隅々まで期待で満たされていた。それは今にも溢れ返りそうなくらいにまで膨らんでいる。
その期待は今から始まる烏野との試合だけじゃない。ちらりとコートの外へ目を向けると、前で手を重ねて佇んでいるソイツと視線が絡む。ソイツは慌てたように視線を逸らす。俺は思わず笑みを深める。
瀬戸。
あの時から、何か不思議と引き付けられるものを感じていた。最初にぶつかった時は、ただの普通の奴だと思っていたが、あの言葉、
『いつ喉笛を突かれるか分からないような───』
それを聞いた瞬間、何故か俺は背筋が粟立つのを感じた。その言葉を発した瞬間、ずっと無表情だった瀬戸の瞳に光が差したように感じたのだ。
その日から瀬戸が気になり始めた。今日烏野のマネージャーが二人だと瀬戸から聞き、すぐさま猫又監督と烏野の顧問とコーチに、瀬戸を貸してもらえるよう申請した。