第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
──────くしゃくしゃっ!
「わっ、わ!な、何っ、」
「お前やっぱ良いな」
「へっ、へ…?」
黒尾さんに突然頭を撫でられ、髪はくしゃくしゃに乱れた。顔を上げると、黒尾さんは愉快そうに笑みを浮かべている。
「お前の言ったこと正解だよ」
「そうだね。自分達への暗示みたいなモンなんだよ」
黒尾さんに続いて、海さんも微笑みを湛えて答えた。暗示。やはり音駒のプレイスタイルをあの言葉で表現し、暗示をしていたのか。
「ま、そーゆーことで、さっきのはやめないってことで。分かったか研磨?」
「…」
「オラ、行くぞ」
孤爪さんはげんなりとした表情を黒尾さんに向けた。黒尾さんはニシシッと悪戯っぽい笑顔を絶やさず皆に声を掛ける。
不意にくるっと皆は私の方を見る。突然の事に、私はビクッと肩を竦めてしまう。しかし、すぐに私の肩からゆっくりと力が抜けていく。
皆は顔は、どこか誇らしげに自信に満ちている。体育館の照明の逆光により、それは神々しく眩しいものに映る。思わずその姿に見惚れていると、黒尾さんはにやりと笑みを浮かべて口を開いた。
「────俺らから目ぇ逸らすんじゃねぇぞ瀬戸」