第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
* * *
「────俺達は血液だ」
黒尾さんの厳粛な声音で言葉が発せられる。
選手達は円陣を組み、その円の中央に各々を右手の拳を突き出している。皆は静かに黒尾さんの言葉に耳を傾ける。
「滞り無く流れろ。酸素を回せ。“脳が、正常に働くために。─────行くぞ」
「「「「あスッ!!!!」」」」
何だろうか今の。
「クロ、今のやめない?何か恥ずかしい。それに瀬戸も変な目で見てたよ」
「えっ」
バレた。
「あー…その、まあ何だろうとは思いましたけど…」
「ホラね、やめようよクロ」
孤爪さんはピシャリと言い放つ。孤爪さんホントに嫌なんだな。しかし、私は孤爪さんの言葉の後にすぐさま付け加えた。
「でも!その…」
皆の疑問を称えた視線が私に注がれる。私は床に落としていた視線を上げる。まだまとまっていない言葉をほつりと口にし始める。
「何か、意味があるとは、思ってます」
「「「「!!」」」」
皆の目が驚愕に見開かれた。それがどんな意味を有しているかは不確かだが、私の言葉はあっているのだろう。
「そして、その意味は、きっと皆さんの試合で、分かると、思ってます」
皆は黙って私の顔を見詰める。その沈黙に不安は募るが、強く気を持ち、じっと見詰め返す。
……一言良い?怖いですごめんなさいホント。
不意に黒尾さんの手がゆらりと伸びて来る。殴られると思い、反射的にヒッと小さい悲鳴を上げて強く目を瞑った。
が、私と予想とは懸け離れた感覚が頭を襲う。