第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
「ハハハッ!随分可愛い子を連れて来たなぁ~やるじゃないか!」
「言ったじゃないすか~。期待しといてくださいって~」
監督らしき人は豪快に笑って黒尾さんを褒め称える。黒尾さんはニシシと誇らしげに笑い返した。そんなハードル上げるような事言っていたのか。期待外れだったらどう責任を取ってくれるんだ…。
「瀬戸、直井学コーチに、猫又育史監督だ」
黒尾さんは掌をコーチから監督へと示して教えてくれた。直井コーチは柔和な笑顔を浮かべて口を開く。
「今日一日よろしくな瀬戸さん!」
「よろしく頼むよ瀬戸ちゃん」
「はい。頑張ります、今日一日よろしくお願いします」
顔を上げると、二人とも優しく笑顔を浮かべていた。何か凄く良い人達で安心した。猫又監督みたいなおじいちゃん欲しいです。
「おーしお前らー。今からちょっと自己紹介タイムだー。一人ずつ瀬戸に自己紹介してけー」
「「「「あス!!」」」」
緊張で萎縮した胃がグルグルと蠢いて気持ち悪い。吐きそう。
「ん~じゃあ、海からいくか」
「わかった」
一番左の優しい雰囲気を纏った、“好青年”の一言に尽きる人が微笑みかけてくれる。坊主という風貌も相まって菩薩感が凄い。
「3年海信行です。ウィングスパイカーやってます。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
お互いにぺこっと頭を下げる。丁寧な挨拶に張り詰めた糸が解れた。
次は、大きくて綺麗な瞳が印象的な人だ。
「3年夜久衛輔。リベロを務めてるんだ。今日一日だけど、マネージャーよろしくな」
「はい、頑張ります!よろしくお願いします」
何ていうか、スガ先輩みたいにお母さんて感じだな。さっきもスガ先輩とお母さん会話してたし余計イメージが強くなってる。
「2年、福永招平…。ウィングスパイカー、です」
「よ、よろしくお願いします」
短めの眉に猫目が特徴的な福永さんは、たどたどしく自己紹介をした。私は挨拶をし、軽く頭を下げる。すると、福永さんもこくんと小さく頭を下げてくれる。何か福永さんふわふわしてて可愛い。めっちゃ可愛い。