第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
* * *
「あーやっぱ失敗だったなぁ~…」
「へ?ど、どうしたんですか?」
黒尾さんに手を引かれながら音駒側のコートへと向かっている最中、不意に黒尾さんは苦笑を浮かべながら溜息を吐く。
「んー?やっぱこっそりお前を連れてくべきだったかなぁと」
「? 何でですか?」
「何でって、お前も見てたろ?烏野男性陣の目!怖過ぎだろあれ!」
「あ、ああ…なるほど」
確かにあれはゾッとする程怖い現場だった。いやでもあれは黒尾さんが煽っていた感じだったのも原因な気がするが…。と、不意に私は先程の事で思い出した事を口にする。
「あの、黒尾さん」
「ん?どーした?」
「さっき、笑いながら、なるほどなって言ってましたけど、どういう意味だったんですか?」
「あ~~…それね。いや、あれは烏野の奴らがみんなお前にぞっこんなんだなって知ったから言っただけ」
「!」
「お、自覚ありか。まぁあんだけ丸出しなら気付くわなぁ~」
黒尾さんは鬼の首でも取ったかのようにニヤニヤと笑みを浮かべる。く、もしかしたらこの人嫌な人かも…。
「ま、それだけお前が大事だったんだろうな」
「……」
「おっ、何だよ照れてんのか~?」
「…照れてないです。からかわないでください」
「うぇ~~~い照れてるぅ~~~~」
この男、本性を現し始めたぞ。しかも相当性質の悪い本性だ。
「黒尾さん、それ以上言ったら股間に攻撃を加えますけどそれでも良いんですね。私相当脚力強いので不能になりますよ」
「大変申シ訳アリマセンデシタ」
次言ったら本当に不能にしてやろう。
と、不意に黒尾さんがじっと私を見詰め始めた。私は僅かに動揺してしまう。